単語はわかるのに、なぜ文が読めないのか

見えていないのは単語ではなく、語と語の関係

英語の長文の意味は、単語の意味を一列に並べて足し合わせたものではありません。誰が何をするのか、誰に対してか、どんな条件のもとでか、何が起きない限りか。こうした関係を決めているのは、must、unless、that、which、based on といったごく少数の語です。辞書で「関係」は引けません。だから単語は全部わかるのに、関係だけが空白のまま残ります。

長文は一直線ではなく、何層にも入れ子になっている

英語に慣れた読み手は “The tenant must give the landlord written notice at least thirty days before moving out, unless the lease ends earlier” を読むとき、まず「借主は貸主に通知しなければならない」をつかみ、そこに「少なくとも三十日前に」「退去の前に」「契約が先に終了しない限り」を一層ずつ掛けていきます。一語ずつ前から読む人は、十語目に着いたころには主語が誰だったかを忘れています。

一つの語の意味は、構造のなかでの位置によって決まる

shall は契約書では義務を表し、日常会話では提案になります。that は一つの物を指すこともあれば、節をまるごと開くこともあります。based の後ろに続くのは、文全体の前提です。位置を先に見ないと、辞書で引いた語義はたいてい違うほうを選んでしまいます。

つまり、英語を読み慣れた人とあなたの差は語彙量ではありません。彼らが無意識にしている一つのこと、まず構造、それから意味、という順序です。

三段階の読み方:まず構造、それから意味

  1. 骨組みを見つける

    骨組みとは、文の言いたいことを保ったままで、これ以上削れないいちばん短い語のつながりです。ふつうは主語、主動詞、そして動詞が必要とする要素です。まず主節の動詞を見つけ、次にその動詞に対応する主語を見つけます。契約書の文では、骨組みは “The tenant must give the landlord written notice” です。ここまで読めれば、文全体の骨格はもう手の中にあります。

  2. 手がかりの語を見つけ、残りを骨組みに掛ける

    骨組み以外の部分はすべて、unless、although、which、before、based on のような手がかりの語を介して骨組みにぶら下がっています。手がかりの語は、その部分がどの問いに答えているかを教えてくれます。何の前に?何がない限り?何に基づいて?手がかりの語が見えれば、その部分をどこに置けばよいかがわかり、推測はいりません。

  3. アンカーを押さえ、それから意味を確かめる

    各部分のなかで本当に重みを担っている内容語は、notice、thirty days、lease のように一つか二つだけです。そのアンカーを押さえ、その部分の意味を選んだ言語で一文にして言ってみて、原文と照らし合わせます。ここまで来れば、いま口にしたその一文が、読めたことの証拠です。

InterStand がしているのは、この三段階を原文の上に描くことです。骨組みは緑の背景、手がかりの語は下線、アンカーは太字、そして各部分に 1 行ずつ、選んだ言語で書かれた注釈が付きます。マークの付け方は毎回同じ、どのページでも同じ。自分の目で見えるようになるまで、ずっと同じです。

実際の長文三つを、順に読む

三つの文はいずれも公開されている文章からとったものです。解析は製品本体の処理で行い、ネイティブの校閲を通ったものをそのまま表示しています。リンク先のツールページでは、描かれた構造を見ることができます。

契約条項:unless が条件を文末に隠している

The tenant must give the landlord written notice at least thirty days before moving out, unless the lease ends earlier.

つまずく場所unless にたどり着くころには義務の部分は読み終わっていて、多くの人は残りを補足として読み飛ばしてしまいます。

読み解き骨組みは「借主は貸主に書面で通知しなければならない」です。at least thirty days は「少なくとも何日前か」に、before moving out は「何の前か」に答えています。最後の unless the lease ends earlier は条件で、文全体を書き換えます。賃貸契約が先に終了すれば、この義務はもう適用されません。契約書では、unless、provided that、except のような手がかりの語は必ず最後まで読みます。

ニュース:本当の内容は estimate that の後ろにある

Scientists estimate that an impact of this magnitude happens on the Moon about once in a century or even longer.

つまずく場所Scientists estimate は骨組みに見えますが、言っているのは「誰が推定しているか」だけです。

読み解きestimate that の that が、推定の中身を開きます。「この規模の衝突が起きる」こそが、この文が本当に言いたいことです。その後ろの二つの部分は、それぞれ一つの問いに答えています。どこで?月で。どのくらいの頻度で?およそ百年に一度か、それより長い間隔で。that が見えれば、本当の内容がどこから始まるかがわかります。

論文アブストラクト:二つの分詞句が、一つずつ事実を担う

We propose a new simple network architecture, the Transformer, based solely on attention mechanisms, dispensing with recurrence and convolutions entirely.

つまずく場所コンマの後ろの based と dispensing には主語がなく、一語ずつ読む人には何について言っているのかがわかりません。

読み解き骨組みは「私たちは新しいネットワークアーキテクチャを提案する」で、the Transformer はその名前です。based solely on attention mechanisms は「何に基づくか」に、dispensing with recurrence and convolutions は「何を使わないか」に答えています。二つの分詞句はどちらも「アーキテクチャ」に掛かっていて、同じものについての二つの事実を述べています。論文のアブストラクトでは、ほぼすべての文がこの組み立てです。

よくある三つの間違った読み方

  1. 一語ずつ訳す

    単語を一つずつ日本語に置き換えてつなげても、できるのは語の列であって文ではありません。関係が訳されていないので、読み終えてもやはりわからないままです。

  2. 全部の単語を調べてから読む

    語彙がボトルネックでないとき、あと十語調べても理解は進みません。まず骨組みを見つければ、調べる必要のない語がたくさんあります。

  3. 最初から訳文を見る

    訳文は答えをくれる代わりに、文そのものを奪ってしまいます。次の文はやはり読めないままです。構造が見えれば、次の文が楽になります。

次のステップ

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無料で読めます。アカウントは不要です。

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読んでいるその場で文を選択すると、その場に構造が描かれます。

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よくある質問

単語は全部わかるのに、なぜ英文が読めないのですか?

意味は一つひとつの単語のなかではなく、語と語の関係のなかにあるからです。関係を決めるのは骨組みと手がかりの語で、辞書では引けません。まず構造、それから意味です。

文の骨組みとは何ですか?

文の言いたいことを保ったまま、これ以上削れないいちばん短い語のつながりです。ふつうは主語、主動詞、そして動詞が必要とする要素です。骨組みから先に読むのは、英語を読み慣れた人が無意識にしていることです。

手がかりの語とは何ですか?

節や句を開き、その部分がどの問いに答えているかを教えてくれる語です。unless、although、which、before、based on、provided that などがそうです。

この方法は長文にしか使えませんか?

短い文にも同じように使えます。ただ、短い文では意識してする必要がないだけです。長文、論文、契約書、規則では、この三段階が毎回通用する読み方になります。

先に文法用語を覚える必要がありますか?

いいえ。各部分はそれぞれ一つの問いに答えるだけです。誰が?何をしなければならない?何がない限り?問いは選んだ言語で書かれています。

これらの例文は誰が解析したのですか?

製品本体の解析処理です。ネイティブの校閲を通った文だけを表示し、読み違いのあるものは取り下げます。

単語はわかるのに英文が読めない?理由と三段階の読み方|InterStand